1.研究の趣旨
(1)研究目的、意義と研究参加へのお願い
日本は超高齢社会を迎えており、高齢者の終末期ケアは国民的関心事になっています。研究責任者は、指導的な役割を持つ介護職員を対象としたワークショップ形式の高齢者終末期ケア教育プログラムを開発し、全国的に効果の検証を行ってきました。その結果、私共の教育プログラムにより、参加者である介護職員は看取りに対して前向きになり、その効果は長期的にも維持されることが明らかになりました。
一方、ケアマネジメントの質、つまりどのタイミングでどの医療・介護サービスを導入するかなどは、高齢者の終末期ケアの成否に関わる重要な要素の一つであり、高齢者の終末期ケアに関するケアマネジャーの知識や態度は、地域や在宅の高齢者ケアの質に大きな影響を与えると考えます。質の高い高齢者の終末期ケアを実践するための知識や態度を身に付けたケアマネジャーの養成が不可欠であると考えます。
本研究の目的は、これまで研究責任者が行ってきた高齢者終末期ケアに関するワークショップの内容を厳選して提供する「在宅ケアマネジャーのための終末期ケアマネジメント教育プログラム(終末期ケアLINE学習システム)」による参加者の学習効果を検証することです。また、本研究は名古屋大学医学部の倫理委員会の承認を受けております。是非、本研究へのご参加、ご協力の程よろしくお願いします。
尚、研究内容やそれに伴う疑問や不安に関しては、研究責任者にご遠慮なくご相談ください。
(2)研究参加の同意表明の任意性と、表明後の同意撤回の自由について
この研究への参加は任意であり、研究に協力するかどうかは、あなたの自由意思で決めてください。協力したくなければその旨を研究責任者(もしくは担当者)にお知らせください。また、途中で協力をやめたいと思ったときは、いつでもやめることもできます。そのときも必ず研究責任者(もしくは担当者)にお知らせください。いずれの場合でも、あなたに何らかの不利益を生じることがないことを確約致します。
尚、一旦研究結果の発表がなされますとご希望に沿えない場合がありますのでご容赦ください。
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2.研究計画の説明
研究題目
在宅ケアマネジャーのための終末期ケアマネジメント教育プログラムの効果(終末期ケアLINE学習システム)
研究機関名
名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学教室
研究責任者の職名・氏名
講師 平川 仁尚
研究分担者の職名・氏名
なし
共同実施機関名・責任者の氏名
なし(ただし、共同実施を行う機関や責任者が追加される可能性があります。)
対象とする疾患名
高齢者の終末期状態
調査する全ての資料項目(日常診療から得る情報も含む)
診療項目:なし
研究のために実施する調査・検査項目:終末期ケア態度尺度(FATCOD-B-J)、平井らの死生観尺度等(但し、倫理委員会の許可を得て、調査資料項目が追加される可能性があります。)
研究期間
実施承認日から2年間としてもよい。
(1)研究目的・予測される結果
高齢者がいかに人生の終末期を過ごすか、高齢者の終末期ケアをいかに提供するかが国民的関心事になっています。高齢者数の増加に加えて、国家財政上の理由や高齢者・家族の希望などから、今後地域・在宅で高齢者を看取る機会が増加することは避けられません。地域・在宅における終末期ケアの質の確保が急務であるといえます。
一方で、この増大していく地域や在宅における高齢者の看取りの需要に応えていくためには、医療サービスのみならず、介護・福祉サービスの有効活用が不可欠であると考えます。つまり、どのタイミングでどの医療・介護サービスを導入するかなどケアマネジメントの質は高齢者の終末期ケアの成否に関わる重要な要素の一つであるため、在宅医や訪問看護師のみならず、ケアマネジャーにも地域・在宅における高齢者の終末期ケアにおいて重要な役割が期待されています。ケアマネジャーは、地域や在宅の高齢者終末期ケアを担う専門職として、専門的なトレーニングを受ける必要があると考えています。
しかし、我々の検索し得た範囲ではケアマネジャーの終末期ケアマネジメント教育に関する本格的な取り組みや実証研究はほとんどないのが現状です。本研究の目的は、我々のこれまでの教育経験を基に開発した在宅ケアマネジャーを対象とした高齢者の終末期ケアマネジメント教育プログラムの効果を検証することです。
(2)研究への参加をお願いする理由
この研究への参加要件は、ケアマネジャーとして在宅ケアに従事し、かつ終末期ケアに関心がある方とさせていただいております。参加は皆さんの自由意思に基づくものです。
(3)研究方法
参加者の皆様には、本教育プログラム(時間は150分程度)を受けていただきます。内容はリビングウィル、在宅での看取りの利点、在宅の看取り事例の検討の3つのセッションから構成されております。プログラム終了時に現場で使える教育用資材(パワーポイント資料等)もご提供します。学習効果判定のため、プログラム実施前後、およびフォローアップとして6か月後に、同一内容でアンケート調査をお願いします。アンケート内容は、終末期ケアに関する知識や態度に関するもの(FATCOD-Form B-Jや平井らの死生観尺度)で、フォローアップ評価時にはプログラム内容の改善点の抽出のため、プログラムに対する意見や感想もお願いします。
(4)研究終了後における被験者への対応
研究終了後も、終末期ケアマネジメント能力の向上のための相談やワークショップ・セミナー等の開催要請に応じます。
(5)実施計画などをさらに知りたいとき
研究責任者または担当者にご連絡いただければ、研究遂行に差し支えない範囲で研究計画の内容を開示致します。
3.被験者にもたらされる利益及び不利益(起こり得る危険・不快な状態)
この研究に参加した場合の利益には、参加者自身のケアマネジャーとしての能力の向上が挙げられます。
参加することにより予測される危険と不利益について、グループ討議の内容によっては不快な感情が引き起こされる危険はあります。ただし、血液など人体から試料を採取しないため侵襲性は極めて低く、また本人の自由意思により参加するため、健康被害を引き起こすことはほとんど考えられません。万が一発生した場合は、関係部署と協議して適切に対応を行います。
4.研究に参加しなかった場合の対応(他の治療法の有無やその内容)
研究に参加しなかった場合に、不利益を被ることは一切ないと考えます。
5.個人情報の保護
個人情報は連結可能匿名化されます。連結可能匿名化とは、必要な場合に個人を識別できるように、その人と新たに付された符号又は番号の連結表を残す方法による匿名化をいいます。連結表は、研究データと別の場所に保管し、容易に連結できないようにする。書面は施錠できる棚に保管し、データを保管するパソコンやUSBにはパスワードロックをかけます。
また、匿名で研究成果として発表される場合がありますが、この際には個人が特定される内容の発表にならないよう十分に配慮します。
6.研究情報の開示
参加者の皆様のご希望により、研究責任者または担当者にご連絡いただければ、他の参加者等の個人情報や研究の独創性の確保に支障が生じない範囲内で研究計画及び研究方法についての資料を入手又は閲覧することができます。
7.研究結果の公表
研究の成果は、収集した個人データが完全に匿名化され、提供者本人やその家族の氏名などが明らかにならないようにした上で、学会や学術雑誌及びデータベース上等で公に発表されることがあります。
8.研究から生ずる知的財産権について
この研究によって特許等の知的財産が生じることがありますが、その所有権は研究者あるいは研究機関に帰属します。
9.目的とする検査が終わった試料、情報等がどう扱われるか
この研究で収集した資料は原則として研究終了後は廃棄されます。しかし、仮に参加者の皆様に同意していただければ、将来の医学研究のための貴重な資料として、研究終了後も保管すること、将来、試料、情報等を別の医学研究に用いる場合には、改めてその研究について倫理委員会に申請し、承認を受けた上で実施致します。
10.研究用の検査・治療の費用について
ご協力いただく参加者の方に交通費等を含めて費用負担は一切発生しませんが、謝金はお払いしません。
11.有害事象・健康被害発生時の対応等
人体から試料を採取しないため侵襲性は極めて低く、また本人の希望により参加するため、補償等の必要性が発生することはほとんど考えられませんが、万が一発生した場合は、速やかに関係部署と協議して適切に対応致します。
12.モニタリング・監査
特に該当しないが、直接閲覧を伴うモニタリング、監査等の調査が想定される場合は、すべての研究関連記録を直接閲覧に供することがあります。
13.研究資金・利益相反
この調査は文部科学省の研究費補助金によって行われます。どの組織や個人とも利害関係や利害衝突はありません。
14.研究結果を他の機関へ提供する可能性について
今後も含め、研究結果を他の機関へ提供する可能性はありません。
15.問い合わせ・苦情の受付先
○問い合わせ先
説明担当医師氏名:平川 仁尚 (電話052-744-2129、ファックス052-744-2131)
※ 研究内容やそれに伴う疑問や不安に関しては、上記の医師にご相談ください。
○苦情の受付先
名古屋大学医学部総務課:(052-744-1901)
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